Power Platformを使った簡単な勤怠申請の作成方法
2025年5月29日
こんにちは、オルトロボでRPAエンジニアとして働くIです。
突然ですが、「Microsoft Power Platform」という名前を聞いたことはありますか?
Microsoftが提供するPower BI、Power Appsなどのアプリケーションの総称で、活用することでアプリ開発やデータの分析、ワークフローの自動化などをローコードで実現できます。
ローコード開発とは、プログラミングの知識がなくても、用意されたフォームやボタンなどを使い直感的な操作でアプリなどを作成できる開発手法です。
世の中には様々なローコードツールやサービスがありますが、今回はExcelやWordでお馴染みのMicrosoft社のサービスを活用して、社内で利用する【簡単な承認機能を持った勤怠申請システム】の作り方をご紹介します!

目次
1. 作成の全体像とライセンス
今回は【簡単な承認機能を持った勤怠申請】の仕組みを、以下のような構成で実現してみましょう。
申請後の承認依頼・通知・最終的なデータ保存までの一連のプロセスを自動化します。

また、ライセンスはMicrosoft 365 Business Standard(Teamsあり)を利用することとします。
2.使用ツールの活用方法

(1)Forms
回答項目のタイプ(選択や記入など)を選び、簡単にアンケートフォームやクイズ等を作成できるツールです。
フォームのリンクにアクセスしたユーザーから回答が送信されると、Formsが連携するExcelにその内容が蓄積されます。
今回は申請フォームを作成するためにこのツールを利用します。
ツールのガイドに従って勤怠申請に必要な申請項目を設置していきましょう。
作成後はテスト回答を行い、正しくExcelにデータが入るか確認しておきます。

※Forms画面一部抜粋

※Formsと連携するExcel
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(2)Excel(Web版)
ブラウザ上で使える表計算ソフトです。リアルタイムで共同編集や自動保存も可能です。
今回は申請・承認データの保存先として使用します。
後述のPower Automateを用いて申請内容や承認内容を蓄積します。
申請・承認の状況を参照したくなった場合に備え、申請フォームの項目の他、承認ステータスや承認者・承認日といった項目を用意しておきましょう。
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(3)Outlook/Teams
Outlookはメールや予定管理、Teamsはチャットや会議等で使われるコミュニケーションツールです。
また、後述のPower Automateで発行された承認依頼をメールやTeamsで受信したり、承認操作をする機能が標準的に提供されています。
今回は勤怠申請の承認依頼・承認操作の手段として使用します。(特に設定は必要ありません)

※承認依頼の通知画面(弊社では休暇申請も兼ねているため、内容に有休等も含まれています)
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(4)M365管理センター
ユーザーやライセンス、アプリの設定を一括で管理できる管理者向けのポータルです。
ユーザーごとに異なる上長へ承認依頼を行いたい場合は、M365管理センターであらかじめ各ユーザー(アカウント)に上長を割り当てておきましょう。
こうすることで、後述のPower Automateで申請者に応じた上長情報を自動取得し、承認者に割り当てることが可能になります。
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(5)Power Automate(クラウドフロー)
定型的な業務を自動化できるツールです。
データの受信、規定時間の到来などを実行のきっかけ(トリガー)として、実行したい処理をパーツのように組み合わせてフローを作成します。
たとえば、メールの添付ファイルの保存、データ更新時の通知、他システムとのデータ連携など様々な業務の自動化に活用できます。
今回は、Formsでの申請をきっかけに、以降のステップをつなぐ役割として使用します。
「1.全体の構成」のうち、②③⑤⑥の処理を設定します。

まずは「自動化したクラウドフローを構築する」からの「Formsの新しい応答がされるとき」を選んでフローの作成を開始します。
FormsのフォームのIDを調べて設定します。(作成したアンケートのURL内「id=」の後のランダムな文字列がフォームIDとなります。)

※上記グレー部分(③参照URLによってはid=以降&の手前までとなります)
以降は+マークを押し、選択候補から追加したいアクション(処理のパーツ)を追加して作成を進めます。
アクションを利用することで、(2)Excel・(3)Outlook/Forms・(4)M365管理センターとの連携も手軽に作成することができます。
アクションの使用方法は以下に掲載されています。
https://learn.microsoft.com/ja-jp/power-automate/desktop-flows/actions-reference

※Power Automate画面一部抜粋(1つ目の作業まで)
3.Power Platformの応用と拡張性
ここまでご紹介した内容を通じて、Power Platformを活用すれば手軽に業務システムが作れるイメージを持って頂けたら嬉しいです。
もちろん、構成や処理内容は業務内容や環境に応じて柔軟にカスタマイズすることが可能です。
今回はExcelでの保存・管理を前提にご紹介しましたが、SharePoint(※)のリストを利用すれば、データの一元管理はもちろん、ステータス管理やフィルタ機能、アクセス制御といった、より業務に適した運用が可能です。
・承認済み/未承認などの状態管理
・申請内容の絞り込み表示
・申請者本人のみが閲覧できる設定(構成やライセンスによる)
(※SharePointとは、ドキュメントの管理や情報共有、共同作業を支援するツールです)
SharePointリストとPower Automate、Outlook(またはTeams)を組み合わせれば、簡単なワークフローを構築することもできます。さらに、Power Appsというアプリが作れるサービスを活用すれば、申請画面などを希望に沿ったデザインや仕様(項目の入力制限付きなど)で作成することも可能です。
4.おわりに
いかがでしたでしょうか?
このようにPower Platformの各サービスを組み合わせることで、活用の幅は大きく広がります✨
またこれらのサービスは、頻繁にアップデートが行われており、今後もさらに進化していく注目のサービスですので、ぜひ気になる方は一度触れてみてください。
ローコード開発は手軽ではあるものの、最初の一歩は難しく感じることもあるかもしれません。
また、ご契約のライセンスによって利用できるサービスは異なり、サービスや機能によってもできること・できないことがあるため、組み合わせ方で悩むこともあるかと思います。
弊社ではコンサルティングから開発・教育まで、ご要望に応じた切り口のご対応が可能ですので、お困りの際はぜひ、弊社にお気軽にご相談ください!