【導入事例】Power Platformでここまで作れる!多機能承認ワークフロー
2025年12月1日
こんにちは。Microsoftとの付き合いは四半世紀、一人で平均年齢を上げているエンジニアのNです!
これまでのブログでは、
など、ローコードツールを使ったアプリ作成の流れをご紹介してきました。
実際に作成された方は「こんなに簡単にできるの?」と驚かれたのではないでしょうか。
一方で、「この部分を変更したい」と思った時に、どう手をつければいいのか迷われた方もいらっしゃると思います。ローコードツールは手軽に作成できる反面、カスタマイズしようとすると途端に難易度が上がり、「何ができて何ができないのか?」の切り分けも難しいです。
そこで今回は、実際にお客様に納品した「承認ワークフローシステム」の機能をご紹介します。「Power Platform」でここまで実装できる」という判断材料として、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
目次
1. 導入の背景とお客様の課題
今回ご相談いただいたのは、社内でさまざまな申請・承認フローを運用しているお客様です。
もともとは、以下のようなお悩みを抱えていらっしゃいました。
まず、現行ツールでは次のような問題がありました。
- 現在使用しているツールのサポートが終了し別のプラットフォームに移行する必要がある
- 部門によって別のワークフローを使用しており統一されていない
- 現在利用している機能はそのまま使いたい
また、今後 Power Platform を全社で導入したいというご希望がありましたが、同時に次のような懸念も持たれていました。
- 作成方法が難しくどのような作り方がよいのか分からない
- 既存業務と並行して作成・勉強する時間がなかなかとれない
- 追加ライセンス購入などのコストはあまりかけたくない
そこで今回は、「現在のMicrosoft365ライセンスのみで利用でき、現機能+αで便利で今後内製するPowerPlatformアプリのテンプレートとなる」ことを目指しました。
2. システムの全体像:Power Platformでの構成
本システムは、Microsoft 365 に含まれるサービスを組み合わせて構成しています。

- 1 Power Apps から申請
- 2 SharePoint リストに保存
- 3 Power Automate が承認フローを実行し、メール/Teams に通知
- 4 承認者はメール/Teams から画面を開いて承認、もしくは メール/Teams から直接承認
追加のデータベース製品は使わず、すべてのデータを SharePoint リストに保存しているため、基本的には Microsoft 365 のライセンスだけでご利用いただけます。
ただし、承認取り下げなど一部の高度な処理を実現するために、Power Automate Premium のライセンスを 1 本のみ追加しています。
3. 権限設計:柔軟なアクセス制御
申請内容には、人事・給与・稟議など、社内でも限られた人だけが扱う情報が含まれる場合もあります。
そのため、本システムでは、利用者の立場ごとに申請の閲覧・編集範囲を細かく設定しています。
さらに、運用ミスを防ぐために、
・承認者として選択できる Microsoft 365 ユーザーを制限し、誤選択を防止
・特定の申請種別を選択した場合、1次承認者を自動設定し、手作業による指定ミスを防止
といった工夫も入れています。
4. 承認フロー機能:現場運用に寄り添った仕組み
今回のシステムでは、現場の運用に合わせて、次のような承認機能を実装しました。
≪今回のシステムで実装した承認機能≫
- 承認取り下げ:修正が必要な場合、承認中でも申請者が取り下げ可能
- 多段階承認:1次承認→2次承認→…→最終承認で完了
- 一括承認依頼:複数承認者に同時依頼、順不同、全員承認で完了
- 通知連携:承認依頼メールやTeamsメッセージから直接該当画面へアクセス
- 操作方法の多様化:メール、Teams、アプリ上から承認・却下可能
- 代理承認:事前登録された代理承認者が対応
- 決裁番号の自動採番:「区分 年-連番」形式で年ごとに連番管理
5. その他の便利機能:作業を効率化する追加要素
承認作業を効率化するために、以下機能も追加しています。
≪承認作業を効率化する機能≫
- 要処理絞込:一覧から今処理すべき申請を絞り込み
- 申請複写:過去申請をコピーして新規作成、入力の手間削減
- 代理作成:申請書入力を別メンバーに依頼可能
- 承認後の回覧機能:承認結果を必要なユーザーに共有
- リマインド:未承認申請リマインドメール送信で対応漏れ防止
6. まとめ
今回ご紹介した Power Platform を活用した多機能承認ワークフローでは、導入先のお客様からも、「画面が見やすくなった」、「これまでの機能も使える」、「リマインドで未承認が減る」などの嬉しいお声をいただきました。
シンプルな勤怠申請や日報アプリであれば、Power Platform の基礎的な知識があれば社内だけで作成することも可能です。
しかし今回のように、複雑な要件をすべて盛り込んだ承認システムをゼロから自社だけで作り込むのは、時間も工数もかかり、運用にもリスクが伴います。
オルトロボでは、
・設計から開発・運用まで一括して任せたい
・複雑な承認処理や基盤部分は任せて、簡易な申請フローは自社で追加・変更したい
といった、「任せたい範囲」 に応じた柔軟な役割分担をご提案しています。
・自社の業務課題だと、Power Platform でどこまで実現できるのか知りたい
・すでに Excel や紙で回している承認フローを整理したい
といった初期段階のご相談でも大歓迎です。
Power Platform を活かした承認システムにご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください!