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地方のRPA大衆化に向けて(福岡)

2018年10月16日

弊社は福岡で中堅・中小企業をメインにRPAの導入支援事業を行っておりますが、都市部と比較して、導入までのハードルが若干高いなと感じています。

ここでは、業務の中で実際に体感した、地方におけるRPA導入の「課題」と「需要」について、ピックアップして書いていこうと思います。

 地方のRPA導入における課題

地方のRPA導入における課題はいくつもありますが、主なものとしては以下の3つがあるでしょう。

①認知度

都市部ではすでに一般化しつつあるRPAですが、現状、地方での認知度はまだまだといったところです。

  • まったく知らない
  • AIとの区別がついていない
  • なんでもできるものと思っている

のいずれかの認識であることが多いと感じています。

これは個人的にも仕方のないことだと思っているのですが、お話を聞いたお客様も「東京で有名になったものが福岡で広まるのはいつも2~3年後だよ」とおっしゃっていました。

②資金力

当たり前ですが、地方の中堅・中小企業には都市部の大企業ほどの資金力がありません。

通常のシステム開発に比べ、RPAは比較的安価で導入・運用することが可能ですが(※)、それでもやはり大きな出費なのです。

ただ、個人的な経験では、RPA導入支援のプロジェクトでROI(費用対効果)がマイナスだったことはないので、実際に導入を決めてしまえば良い結果には期待できるのですが、なかなか初めの一歩が踏み出しづらいところなのでしょう。気持ちはとてもわかります。

※規模や種類によっても様々ですが、通常のシステム開発は数千万~数億かかることが多く、RPAの導入は数百万~数千万ほどが相場となっています。

(ちなみに、どちらも大企業向けの相場であり、中堅・中小企業の規模であればもっと安くなります。)

③システム導入に対する不信感

地方では、都市部と比較して新しいシステムに対する慣れが足りていません。

それは、周囲に実際に新しいシステムをどんどん使っている企業が少ないためだと考えられます。

地方とはいえ、インターネットや新聞・広告ではいろいろな新しいシステムの情報が飛び交っていますが、実際に導入している企業が周りにないため、その新しいシステムの潜在力に気づかずにスルーしてしまうことが多いのです。

一般的にも、広告でよく見かける商品よりも、同様の商品で友人や知人から話を聞いた商品があれば、後者を選択・購入する人の方が多いのではないでしょうか。

それが自分にとって大きな出費であればなおさらですよね。

地方のRPA導入における需要

課題について書いたことで、RPAの導入は地方の企業には不要なのでは?と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことは全くありません。

むしろ、都市部の大企業よりも地方の中堅・中小企業の方が切実な需要を抱えています。

①慢性的な人手不足

最も大きな需要として、人手不足の解消が挙げられます。

どこの地方もそうですが、福岡でも、企業経営者は人手不足に悩まされています。

直近の帝国データバンクの意識調査(※)では、正社員の不足が「54.9%」、非正社員の不足が「34.5%」にのぼり、どちらも過去最高を更新しています。

RPAはそもそも働き方改革の一環で注目が集まったツールであり、人手不足の解消が目的の一つでもあるツールです。

少子高齢化が進み日本の労働力が減り続けている(特に地方)状況で、ある意味もっとも必要なツールと言えるでしょう。

※参考:

人手不足に対する九州企業の動向調査(2018年7月調査)

②業務の属人化

これは日本ではどこでも言えること(※)ですが、特に地方ではこの傾向が顕著に表れています。

経営者が自社の業務改善を行い、経費の削減および売上増加の体制を作ろうと思っても、それぞれの業務が当該担当者しかわからないことが多く、どの業務を省力化し、どの業務に注力すれば良いのか、判断ができないことが多いのです。

また、社員の入退社の際にも、都度引継ぎに多くの時間を奪われ、通常業務が滞ることも多く見受けられます。

※日本では終身雇用を前提として雇用を行う傾向が強く、属人化の問題が見えづらくなっています。一方、海外では人員が流動的であることが当たり前であるため、業務の可視化・マニュアル化がしっかりと行われ、人員の入退社の際に業務が滞ることのないよう、効率化されていることが多いのです。

地方におけるRPAの今後

それでは、地方におけるRPAの導入は今後どうなっていくのでしょうか。

個人的な結論を申し上げると、当面はじわじわと広がり、ある時期を境に一気に導入が広がっていくと予想しています。

そのためには、以下の2点がポイントになります。

①ベンダー(RPAツール提供会社)の動き

つい半年前、1年前まではベンダーとしても大企業の方ばかりを向いていた感が強かったですが、

最近、どのベンダーも明らかに地方を意識するようになっています。

様々な報道がなされていますが、都市部の大企業はRPAツールの導入を終えている・もしくは最中であり、新規に導入できる会社が減ってきたという背景があります。

ベンダー大手のRPAテクノロジーズ社も最近の説明会&プレスリリースで地方強化を謳っていましたし、他のベンダーもそれに追随している動きが見えます。

また、大手のベンダーに限らず、中小ベンダーは初めから中堅・中小企業をターゲッティングしている場合も多く、今後も多くのRPAツールが世に出てくることになるでしょう。

この流れから、今後の1~2年で、規模・価格ともにより地方の中堅・中小企業にマッチしたRPAツール、プランが出てくることも期待できるのではないでしょうか。

②認知の広がり

現時点では地方での認知が低いRPAですが、特定の商品の認知がある一定数を超えると急激に広がる、ということはよくあることであり、RPAに関しても、同様の現象が期待できると考えられます。

同様の現象が起こる条件として、「商品そのものの能力」と「ユーザーの潜在的な需要」が挙げられますが、地方のRPA導入に関しては、そのどちらもを満たしていると思われるからです。

認知が広がっていけば、実際に導入に踏み切る企業も増えてくると予想されます。

弊社としても、福岡の地元企業として、今後も地方のRPA導入の流れを陰ながら支援していけたら良いなと思っています。

Tags:RPA、福岡